#10 SADAM
久しぶりのFEATUREの取材。
とあるアーティストのアトリエを目指して訪れた都内某所は、東京の中でも特に下町風情が残るほっこりエリアで、小さな改札を出れば即昭和。概ね80年台後半くらいです。
近年、観光に寄せた”ビジネス下町”的な界隈も目立つ中、ここは温かい生活感が残る、心地よいピース系。
5月と思えない蒸し暑い昼の日差しがエモめの街並みとマッチして、危うくセミの音まで聞こえてきそうでした。
“SADAM” (サダム)という名前で活動するそのアーティストは仙台出身で、何年も前に東京と仙台で数回ほど挨拶程度に話したことはありましたが、本人の寡黙でクールな印象と、自分が作品から感じていた異常性? 狂気的?、な部分が、マッチしているようで、またそれが意外でもあり、まだまだもっと知りたかった人。
現在は仙台と東京の2拠点で制作活動をされているそうで、都内でこの辺りを選ぶセンスやっぱ気になるな、などと思いながら駅から歩くこと7〜8分。
昭和系のイイ感じのアパ-トなんかを安易に想像していましたが到着してビックリ。
プライバシーの観点から外観はお見せできないですが、路地を入ったどん突きに若干異様な雰囲気を放つ、元工場のような戸建て。
ヤバそうだな、という予感ビンビンで扉を開けるとそこには…
持っていたイメージにどこか近い、静かで狂気的な世界が広がっていました。
立派なスケートランプが置けそうな天井の高い1階には、異常としか思えない量のあるものの廃材。
それを横目に、これもうアメリカじゃん!とワクワクしながら鉄階段を上がると、何だろう……倉庫?
しかも明らかにタイプの違うものが無造作に置かれていて、急に情報量多め。
ここはおそらく何名かでシェアしているスペースで、おそらく全員が我々凡人とは違う世界観を持っている、ということだけはすぐに察知できた。
招かれた小部屋に足を踏み入れると、
壁から床まで、筆や絵の具などの画材、ラフや制作途中の作品など様々なもので埋め尽くされてました。
そんな空間に夢中になりすぎて、床の雑誌の切り抜き?を踏んでしまって謝ると、
「あぁ、それ床に置いて踏むことで加工を入れているんです」……笑。
さすがです。
少し状況と空間を理解できてからは、目に入ってくる彼の作品について質問攻め。
油絵を中心に、下絵/塗り途中の作品/切り抜きにペイントしたものまで、気になるものだらけでしたが、人物画に関してはとにかくどれも口(クチ)が特徴的で、その独創性とカラーリングが強く印象に残るものでした。
止まらず、さらに物色していると、何やらまた世界観MAXの作品が何十枚も。
鉛筆のタッチもまた違った味わいがあり最高な……。
「これもいいですね!」なんて見ながら聞いてみると、なんとこれ、全部並べると1枚の絵になるそうです。
一瞬、並べてみようかとやってみたがすぐに断念、絶対無理。
次は謎の物体?が写る写真の束を発見。これもすかさず聞いてみる。
インスタントカメラのフィルムだけを使い、真っ暗の部屋で一瞬光を当ててグっと手で押さえつける???、と偶然できるそうで、カメラも使わず、実際に撮っていないのに写真になるところが面白い、と。
面白いですが、その前に思いつかない。笑
最近のものから過去の作品まで色々見させてもらいましたが、その時々のマインドによって作風や手法が変化/進化していて、芸術家ってホント凄い。
ちなみに自分が初めてSADAM君を知った頃の作品がこちら。
当時は点描画をやってたんですね。
しかし気が狂いそうなほど細かいし、題材も独特過ぎる。そして、背景まで作り込みも凄い。
僕はこの辺りの作品を最初に見てしまったので、SADAM君の目の奥底には計り知れない狂気が潜んでるんだ、と勝手に思っていました。
でもこうして訪ねて色々話してみると、それもあながち間違いではなかったのかも知れません。笑
そして、今回の取材の目的の1つであり、
彼が試行錯誤しつつ、近年作っているというアートがこちら。
絵だけでなく写真や雑誌の切り抜き、マスキングテープなども作品として組み合わせた上から樹脂。
それを何層にも重ねていく。
樹脂独特の質感と光沢感、ランダムな立体感、1発勝負的な臨場感まで伝わってくるし、作品自体の重量も手伝って凄い迫力でした。
そのブッ飛んだ手法で制作された、
こちらの新作を用い、HAIGHTとのコラボレーションアイテムを制作しました。
HTSD-224001
PURPLE NIGHT OPEN COLLAR SHIRT
HTSD-226001
PURPLE NIGHT BALL HAT
HTSD-221001
BULLET GIRL Tee
各種、6月4日(土) 10:00~オンラインサイトで販売開始となります。
SADAM君、貴重なお時間有難うございました。
両耳聞こえなくなって病院行ったら耳垢がつまってた話は最高でした。
SADAM YOSHIZAWA(@sadam215)